経済・お金のあれこれ

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日本はなぜデフレを脱却できないのか

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前回のおさらい

前回はデフレーション、いわゆるデフレについて説明しました。デフレとはお金の価値が上がり物や人の価値が下がるということが連鎖的かつ継続的に起こることによって経済に悪影響を及ぼしている状態のことでしたね。

 

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そのため、このデフレの兆候やデフレそのものが発生すると国はお金の流通量を増やすことによって(金融緩和)お金の価値を下げ、賃金の上昇、物価の上昇をさせようとします。

 

この金融緩和によってリーマンショック以降停滞気味であった経済が正常化しつつあります。アメリカでは慎重ながらも着実に利上げが行われ、ヨーロッパの緩和の縮小ムードが進んでいます。

 

これは長年金融緩和を行った成果と言えるでしょう。

 

ところが

この流れに取り残されている国があります。それが日本です。日本も欧米と同じように金融緩和を長年行ってきました。2013年に黒田東彦さんが日銀の総裁になるといままでより倍近いお金を流通させる異次元の金融緩和まで行っているのにも関わらずです。

他国より強力な金融緩和を行っているにも関わらずなぜ日本はデフレを脱却できない、どころかその糸口すらつかめずにいるのでしょうか。今日は日本のデフレについて考えていこうと思います。

 

日本のデフレは過去に例がない

もう日本人のほとんどが忘れかけているリーマンショックですがこれは実に大変なものでした。

このリーマンショックで世界の投資熱が冷める、つまり投資する、お金を使うよりお金を守る(リスクオフ)の流れが世界中で広まり、世界的にお金の価値がぐんぐんあがり、世界的なデフレが発生しました。これによって先進国の金利はほぼ0になりここから世界のデフレとの戦いが始まったわけです。

そして現在2018年、ようやく抜け出せそうな気配になってきたわけです。ここまで約10年。あの世界恐慌と同じ期間です

いかに大変なことだったかわかると思います。

 

しかし実をいうと日本はそのはるか昔からデフレと戦っていたんです

 

だってみなさん。日本が好景気だって話聞いたことありますか?ドラマを見てもニュースを見ても近所の噂話を聞いても「今は不景気だから」

こればかりです。

日本はバブル以降好景気を経験してないのです

言い換えるとバブルが崩壊してから日本はずっとデフレなわけです。

日本のバブルがはじけたのは1991年のことですのでここから考えると実に四半世紀以上日本はデフレが続いていることになります。

こんなことは世界を見渡しても例がないのです。そしてこれだけ続いたデフレ効果によって通常のデフレでは起こらない問題が起きていてその問題こそが日本がデフレを脱却できない要因となっているのです。

 

物価の上昇に慣れていない

1991年と言えば私はまだよちよち歩きの時です。経済の「け」の字すら知らない時です。バブルを楽しんだ世代はどんどん高齢化し、いなくなっていっているわけです。

 

つまり今の社会人は物価の上昇、インフレを経験していない人が多いということです。

 

四半世紀もの長期的なデフレから日本の今の大企業はデフレありきで成長してきました。通常、商売は安く仕入れて(作って)高く売るが基本です。

しかし日本はデフレが慢性的でしたのでこのセオリーは通用せず、成功できたのは高いものを安く売れた人たちでした

質のいいものをいかに安く売るか。こんなことを考えるのは実は日本人くらいです。先ほど言ったように商売のセオリーは安く仕入れて(作って)高く売る。質のいいものならなおさらどれだけ高く売れるかを考えるものです。

 

より安く、より安く。すっかりデフレに浸りきった日本人はこの考えが染みついています。そんな今の日本社会で物価が上がったからと言ってすぐに値段を上げたらどうなるでしょうか。誰も買わなくなってしまいます。

これのいい例が1998年のマクドナルドです。

当時急激に進んだ円高の影響で日本は物を安く海外から買える状態にありました。つまり円の価値が急速に上がる、デフレが大きく進行している時期です。

そこに目を付けたマクドナルドは当時120円程度だったハンバーガーを半額の60円程度まで値下げし、ハンバーガーは飛ぶように売れました。

 

しかし、急激に進んだ円高が一服し、円安が始まると材料を今までのように安く仕入れることが出来なくなり、半額で売ると赤字になってしまいます。そのため値上げ、というより価格を戻そうとしたわけですが値上げしたことによって売り上げは激減しました。

不思議なことに価格を下げる前、120円で売っていた時よりも売り上げが落ちてしまったのです。

 

原価が上がったので商品の値が上がる。これは至極当然のことなのですがデフレに慣れてしまった日本人は「値上げ」を親の仇のように扱います。例え物価が上がっても安く提供し続けるとここそが優良企業という歪んだ考えが定着してしまっているところがデフレ脱却の重い足かせになっているのです。

 

収入が増えても消費に回さない

私たち世代は物心ついたころからずっとデフレです。好景気なんておとぎ話としか思ってません。

そんな私たちには一時的に景気が上向いても「どうせまた下がるんでしょ?」という思いがどこかにあるものです。

そのため、お金が増えてもお金を消費せず貯蓄する傾向が強いのです。なのでお金の流通量が増え、企業業績が改善しても社員への還元や設備投資というよりも有事に備え貯めこむ企業が多いのです。

日本企業のROEの低さが時折取りだたされますが、それは長期のデフレを経験していることが大きな理由だと思っています。

 

また、ベースアップ、ボーナスのアップなどで社員の給料が増えてもバブル崩壊を経験した両親に育てられた悟り世代は無駄遣いせず貯蓄する傾向があるのです。

これでは社会人の貯蓄額が増えるだけでお金の流れは個人口座でせき止められ、お金が流通しません。

これでは物は売れませんから物価が上昇しないわけです。

 

まとめ

これが日本が世界と同じように金融緩和を行ってもデフレを脱却できない理由です。

日本は長きにわたりデフレを経験し過ぎました。お金はとっても大事なもので無駄遣いをするのは悪いことだし、お金がたくさん入ったからといってすぐ使ってしまう人はダメな人というふうに教え込まれています。

私の母なんかは団塊の世代ですのでお金を使うことが社会のためになるということをいくら説明してもわかってもらえません。

もはや洗脳されているのでは思うほどです(笑)

お金は使ってこそ役に立つ。使いもしないお金を大量に塞き止めておくことは経済にとっては悪影響なのです。

 

金は肥料のようなものだ。

ばらまけば役に立つが、
一ヶ所に積んでおくと
ひどい臭いがしてくる。

byクリント・W・マーチソン

 


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